風力発電事業のリスク管理(リスクマネジメント)



 どんなビジネスでもそうですが、事業のリスク管理(リスクマネジメント)は最も大切です。実際の事業の収益性は、様々な要因で予測とのブレが生じます。事業を始める際には、そのブレの程度、すなわち事業のリスクを前もって見積もること、またそれをできるだけ小さくすることが大切です。その見積もりは正確であればあるほど良く、リスクの小さい事業と言えます。

 予測と実際の事業とのブレ(リスク)を小さくする方法として、事前の風況調査、環境調査、地盤調査、落雷予測などを行うことが挙げられます。これに加えて、事業へ保険をかけることも、大きなリスクを負えない事業者にとっては有益な方法です。最近では、保険会社から、大型風力発電や、小型風力発電を対象とした各種保険が提供され始めています。

 もちろん、
各事業者の資産規模によってリスク許容力は異なりますので、各事業者や対象事業の規模に合ったリスク管理を行う必要があるでしょう。資産規模の大きな事業者が投資金額の小さな小型風力発電事業を行う際には、収益予測と実際の収益が大きくブレても構わないかもしれません。

 また、事業からの「撤退」や風力発電機の「事故」などに対する備えも十分に検討しておく必要があります。たとえば、ある場所において、当初は十分に収益性があると予想して風況調査を進めても、その結果、風速が予想よりも低く、発電事業に適していない場合もあります。その結果、その場所における発電事業から撤退した場合、それまで調査などに要したお金は返ってきません。しかしその後も事業者として継続できるように考えておかなくてはいけません。

 事業を継続的に進めるためには、投資金額の小さい初期の段階に、十分な検討をして、事業の進退についても的確な判断をすることが大切です。