自治体が考えるべき風力発電設備の放置リスク



 2020年12月、日本政府は2040年における洋上風力発電の設備容量を、3000万〜4500万キロワットにする目標を掲げました。今後、洋上風力発電の導入計画が日本各地において立ち上がることが予想されます。
 また、日本において2000年頃から陸上への導入が拡大してきた日本の風力発電設備は、耐用年数が20年程度とされており、今後は多くの風車の建て替えや撤去などの時期が到来します。
 世界の風力発電機は、洋上への設置や経済性向上のニーズに合わせて、近年、大型化が急速に進んできています。陸上に設置される風車も、建て替えなどのケースも含めて従来よりも一回り大きな風車になる可能性があります。
 このように、日本の風力発電は今、洋上風力への展開や陸上風力発電設備の撤去や建て替え、それに伴う風車の超大型化などの大きな変革期にあると言えます。

 風力発電は、二酸化炭素の排出抑制と共に、衰退した地方経済の活性化の材料としても捉えられており、建設の容易さによっても、人口の少ない地方での導入や計画が多くなっています。風車が導入されれば、立地自治体は、税収や公共事業的な経済効果の恩恵を受けることが期待されます。

 風車が設置される前には、発電や設計にかかわる風の調査や、環境影響調査などがなされ、風車の設置が適切かどうか検討されます。
 ここで、風車の立地する自治体は、環境への影響、つまり環境的リスクをチェックすることになるのですが、見落としがちなリスクとして、将来に風力発電設備が放置されるリスクについても考えておく必要があります。

 風力発電においては、風の乱れなどによって見込み通りの発電ができなかったり、機器の著しい劣化が生じたりすることもあります。このような風力発電の見込み違いは過去にも例があることですが、このような場合に風力発電設備の経済的価値が無くなり、可能性として風車が放置されることもありえます。
 自治体にとっては、誘致企業の撤退や、空き家の放置などと類似の状況を、風力発電事業においても想定する必要があるこということです。

 洋上風力も含めて風力発電事業の計画のある自治体においては、その環境への影響のみでなく、実際に発電するかどうかや、事業の継続性なども考える必要があると思われます。