風力発電詐欺に騙されるな



 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)によって、太陽光発電・風力発電などの発電事業者には、従来よりも高い買取価格が保証されるようになりました。風力発電に限れば、平成28年度現在、小型風力発電(出力20kW未満)は55円という高い買取価格であり、洋上風力発電も36円となっています(ちなみに、陸上の大型風力発電は22円の買取価格です)。

 たしかに、1kwhあたり55円という高い価格が保証され、数百万円から導入できる小型風力発電は、一般の方にも魅力的です。また、太陽光発電の買取価格が下がってきたことで、太陽光発電に代わる新たな投資先としても見られるようになっています。

 一方で、このような環境に便乗して、詐欺が発生しやすい状況にもあります。例えば、高い買取価格といったうたい文句だけで、実際にはあまり風の吹かない場所に風車を建てさせたり、事業の実態が無いにもかかわらず出資金や社債と称して金銭を出させたりする、といった詐欺が考えられます。

 NEDOが作成してホームページで公開している局所風況マップなどもありますが、これは大型風車を対象としたもので、30m以上の高さを想定したものです。また、場所によっては精度も大きく異なるので、こういった情報だけに頼って風車を建てたり、発電サイトを購入したりするのは危険です。

 小規模な小型風力発電であっても、売電事業を目的とするのであれば、簡易的にでも風況観測を行った上で購入などの判断をすることが大切です。特に、小型風車が設置されるような地面近くにおける、乱れた風を予測するのは、たとえ専門家であっても難しいのです。

 また、風力エネルギーは、風速の3乗に比例します。例えば、風速4m/sと5m/sを比較した場合、風速値だけをみると、その比は5/4=1.25と1.25倍の違いですが、風力エネルギーとして見ると、125/64≒1.95となり、約2倍もの違いになります。つまり、わずかな風速の違いが、発電出力や発電量としては大きな違いになるのです。

 実際に風力発電の検討をされる際は、前述したような詐欺的な商法に注意しつつ、風の状況だけでなく、風車のスペック(パワー係数など)や、導入費用なども複数のメーカーで比較すると良いでしょう。