「風まかせ」の風力発電事業が安定した事業である理由



 風力発電はしばしば、「風まかせ」という言葉で表現され、否定的なイメージで捉えられます。これは、気象によって発電量が変わるために、需要に応じて発電量を制御できないためです。

 しかし、ビジネス的に見ると、風力発電による発電事業は、収入が極めて安定した事業となります。

 気象、すなわち風の変化によって、日々の発電量や月々の発電量は大きく変わりますが、年単位で見ると、その発電量は、ほぼ一定になります。つまり、年間の売上高は、ほとんど変わらず安定します。現在の固定価格買取制度では、20年間、毎年ほぼ一定の売上が得られることになり、収入面に限ると超安定的な事業と言えます。

 その一方で、既設の風力発電事業の中には、風況の見立ての甘さなどにより、赤字となる発電事業も多くありました。この場合、安定した赤字の事業となります。

 その原因として、風況の評価に関することでは、風力発電の分野で先行してきた海外のシミュレーション方法が日本でも踏襲されてきたことや、発電予測に使われた風の計測場所、計測高さが実際と異なることなどが考えられます。費用面では、部品交換などの経常的な費用や修繕費などの定期的な費用の見積もりの甘さも原因として考えられます。

 しかし、経年劣化や雷被害など、乱流・塩害・雷などの自然現象に起因して生じる故障の程度は、過去のデータの蓄積によって、ある程度精度よく見積ることができるようになってきました。

 また、風の計測については、ドップラーライダなどのリモートセンシング装置の登場によって、これまで行われなかった高度100m以上の風や、洋上などの風も遠隔で測定できるようになってきました。

 風力発電事業は金額の大きな投資です。わずかな検討を惜しまず、高い収益が安定して得られる事業を目指して頂きたいと思います。